ただ単に太っていること、それがメタボリックシンドロームではありません。
「特定健康診断」で着目される「メタボリックシンドローム」について、改めて整理してみましょう。
既に「メタボリックシンドローム」の人、その予備軍と考えられる人、より大きな病気になる前に「脱メタボ」の第一歩、ここからスタートです!
メタボリックシンドロームってどういうことなの?
メタボリックシンドロームとは
「メタボリックシンドローム」とは内臓脂肪症候群(ないぞうしぼうしょうこうぐん)とも呼ばれ、おなかの周りの脂肪(内臓脂肪)が必要以上についてしまったことに加え、さらに血圧や血糖値、脂質の値が基準値を外れてしまった体の状態のことです。
メタボリックシンドロームは「動脈硬化」に要注意!
メタボリックシンドロームになると、動脈硬化(血管が硬くなる)が進みやすく、心臓や脳などの血管が破れたり、詰まったり、さまざまな生活習慣病を引き起こす危険が高まってしまいます。
糖尿病や高血圧、脂質異常などで病院に行くほどでなかったとしても、心疾患や脳血管疾患といった「命にかかわる病気」がすぐそこにある、見過ごせないカラダの状態なのです。
より大きな病気になる前に、より大きなリスクを回避するために、まずは「メタボリックシンドローム」として診断され、その進行を早めに予防することがとても大切です!
ウエスト、はかりましょう。
メタボリックシンドロームの元凶となるのが、おなかにたまる「内臓脂肪」。
・内臓脂肪:おなか(腸)のまわりにつく脂肪です。
従来の健診では、問診をはじめ、身長、体重、血圧の測定、血液や尿の検査などを行うのが一般的。
40歳から74歳を対象とする「特定健診」では、さらに「ウエスト周囲径」の測定が検査項目に加わりました。おなか周りの数値をはかって内臓脂肪の蓄積を診断するという訳なのです。
特定保健指導の選定基準について
特定保健指導では、生活習慣病の予防効果を高めるために、太っているか、痩せているかの指標となる「BMI」や「喫煙状況」などもあわせて診断され、メタボだけでなくメタボ予備軍も該当となります。
例えばウエスト周囲径が基準値以下でも、BMI25以上(肥満の目安)の場合には、同様にメタボリスクとして診断されるのです。
動脈硬化をすすめるメタボ注意の3項目
高血圧
血圧とは血液が流れるときに血管にかかる圧力。この圧力が高くなり続けてしまうと血管の壁の弾力性やしなやかさがなくなり、血管の壁に傷ができて動脈硬化が進んでしまいます。
診断の基準
上の血圧130mmHg以上 かつ/または 下の血圧85mmHg
高血糖
血糖値とは、血液の中の糖(ブドウ糖)の濃度のこと。血糖値が高いまま下がらない状態が続くと血管が傷ついて動脈硬化を引き起こし、様々な病気の危険が高まってしまいます。
診断の基準
空腹時血糖値:110mg/dL 以上
脂質異常
中性脂肪やコレステロールなど、血液中の脂質が基準を外れた状態のこと。
中性脂肪が増え、逆に善玉のHDLコレステロールが減少してしまうと、動脈硬化が進んでしまいます。
診断の基準
中性脂肪:150mg/dL 以上 または HDLコレステロール40mg/dL 未満
仮にウエスト周囲径が基準オーバーだったとしても、血圧や血糖、脂質が正常値であれば「メタボリックシンドローム」として診断されることはありません。
ですが、ウエスト周囲径が基準を上回る内臓脂肪型肥満であれば、後のちそのリスクが出はじめる可能性は大いにあります。。。
肥満対策、今のうちに取り組んでおいて早すぎることはないのです!
脱メタボリックシンドローム、一緒に目指しましょう。
どうするメタボリック、こうするメタボリック
メタボ対策は何といっても肥満の予防、つまりは生活習慣の改善です!
メタボリックシンドロームを引き起こすおおもとの原因は、ズバリ肥満による内臓脂肪の蓄積!!
その理由はシンプルで、とり入れるエネルギーが消費するエネルギーよりも多いからです。
毎日の食事からとり入れたエネルギーが日常生活の中で上手に消費されないと、使い切れなかった(余った)エネルギーは「脂肪」としてカラダにため込まれてしまいます。
まずは、入ってくるエネルギーと消費するエネルギーのバランスを調整し、余分なエネルギーが脂肪としてため込まれてしまうのを防ぐことが肝要なのです!!
食生活は何といっても食べ過ぎ注意!
年齢、そして日々の活動量を考えると、若い頃と同じような食のスタイルではちょっと厳しいですね。
食べ過ぎ、早食い、糖分・アブラのとり過ぎも要注意!
ゆっくり、よく噛み、野菜も食べましょう。
消費できないエネルギーをため込んでしまわないよう、今の自分のステージにあった食生活の基本、もう一度組み立て直しです!
メタボ3項目狙い撃ち!!
メタボ3項目で基準値を外れてしまったところは、ピンポイント狙い撃ち作戦を展開すべし!
check1
血圧を下げる→塩分注意!
check2
血糖値や中性脂肪を下げる→アルコールやお菓子(甘いもの)を減らす!主食や夜食の食べ方も注意!
check3
コレステロールを下げる→脂っこいものを控える!
こまめに動く習慣づけがお得
内臓脂肪の撃退には「有酸素運動」が効果的!ウォーキング、水泳などが取り組みやすいですよね。
例えばウォーキング、まとまって30分歩くのと、こまめに歩いて(動いて)合計30分と、その効果はあまり変わりません。
エスカレーターを階段にすることも、積りつもって大きな変化につながる訳で、日常のスキマにこまめに動く習慣、身につけた方が断然お得です。
その他、注意したいこと
喫煙は血圧、糖代謝、脂質代謝というメタボの3項目すべてに悪影響を及ぼしています。
メタボを悪い方に勢いづけるタバコ、と考えると「メタボ対策」と「禁煙」はセットで取り組む課題と言えます。
また、年に1回の健康診断、これも大切です。
気づかないことに気づく年一回のチェックシステム、生活スタイルをリセットする絶好の機会として有効に活用しましょうね。
メタボ、または福音!?
残念ながら「メタボ」に該当してしまった方、これはまさに、今まで気が付かなかったカラダ改善のチャンスです!
ため込んでしまった「内臓脂肪」という名の生活習慣の垢をはぎとり、一転攻勢に転じる“福音”とすること、それこそが、本来のメタボリックシンドロームの存在意義といえるでしょう!!
まとめ
メタボリックシンドロームが引き起こす数々の病気は、知らず知らずに進行してしまう厄介な存在。このチャンスを逃がしたら、次の機会・・・・どうでしょう。。。
これからの生活改善、むしろ今までになかった新鮮な体験として、チャレンジしてみるのもよいかもしれません。
歩くと、意外に歩けちゃうな。
野菜って、意外に美味いな。
習慣を変えることは、視点を変えること。
せっかくですので、今まで見えなかった楽しみを発見しつつ、カラダ改善に挑戦しましょう!
【参考資料】
eヘルスネット
メタボリックシンドローム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic
メタボリックシンドロームとは?
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-001.html
メタボリックシンドロームの診断基準
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-003.html